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「在宅透析」を選択した患者さんの体験談

治療を受けられる時間帯に制限があり、どうしても治療が生活の中心になってしまいがちな透析治療。通院時間に合わせた生活を送らざるを得なかったのがこれまでの透析の問題点でした。しかし、在宅透析が徐々に普及し始めたことで、このような問題が解消されつつあります。透析患者の生活の質を大きく向上させる在宅透析について、実際の事例をご紹介します。
※こちらの体験談は個人の主観にもとづきます。

【体験談1】自分の都合に合わせて頻回透析ができる

【以下、NPO法人腎臓サポート協会「腎臓病なんでもサイト」からの引用(https://www.kidneydirections.ne.jp/)】

――マリアンナ医科大学病院の在宅透析(HHD)患者第一号ということですが、どうしてHHDを始めることになったのですか?

田口:当時は腹膜透析(PD)と病院での血液透析(HD)の併用をしていたのですが、PDもそろそろ限界に来ていたので今後どうしようか考えていました。生体腎移植の話もあったのですがうまく進まなくて、ちょうどその頃にHHDの講演会があり、大変興味を持ち、主治医に「やってみたい」と相談しました。

――聖マリアンナではHHDはやっていなかったんですよね。

田口:ええ、当時、神奈川県でHHDをやっていた病院は2つしかなくて、東海大学付属病院と汐見台病院だけでした。それで聖マリアンナの先生や看護師さん、技士さんたちと一緒に汐見台病院の川口 良人先生のところに行って、HHDとはどんなものか、どうやってやるのか、勉強させていただいたのです。

――じゃ、先生方も汐見台病院で研修されたんですか?

田口:はい、みんなで。私は2週間入院して勉強し、退院後に聖マリアンナで4ヶ月トレーニングしました。

――主治医はどなたですか?

田口:櫻田勉先生です。私があまりにも早くHHDを決めてしまったので、「家族は大丈夫ですか?」と心配してくれました。

――で、奥様はなんと?

田口:最初は反対しました。HDをするとしても、「病院で腕を出していれば済むものを、どうしてそんな苦労をしなくてはいけないのか」と。

――それで今はどうですか?

田口:HHDを始めて体調がとても良くなったので、やはりやって良かったといっています。

――HHDはどんなスケジュールでするのですか?

田口:最初は、何かあったときに病院の指示を受けられるよう、透析室が対応できる時間にすることになっていました。朝7時半から夕方6時くらいまでで自分の好きな時間でかまいません。

――トラブルがあっても、透析室の指示を受けられるからですね。

田口:そうです。今は午前中に透析をしています。というのは現在は週3回、午後に会社に行っているので、その前の時間を透析に当てています。会社の日は8時~10時まで2時間、会社に行かない日は11時までの3時間です。

――HHDをやってみて体調は?

田口:体の調子はとてもいいですね。やはり透析は、回数も時間も多い方が良いわけで、HHDなら自分の都合にあわせてそれが可能なことを身をもって体験しています

――将来の希望はありますか?

田口:夜、寝ている間にHHDをして、昼間はまったく自由にできればと思っています。でも、まだ医師から許可されないんです。腎臓内科の先生が当直の時は夜でも対応できるのでOKとはいわれているので、午後10時くらいに透析することもたまにはあります。

リスクヘッジをしっかり取り、万全の体制を

田口さんの場合は「2週間の入院」と「4か月のトレーニング」で在宅透析を始められたようですが、一般的には半年前後、長い人では1年前後のトレーニング期間が必要だと言われています。

体験談の中でも語られているように、在宅透析に十分に対応できるクリニックはいまだ少なく、導入トレーニングを受ける際は多少遠くても実績のあるクリニックに通うことになるでしょう。

はじめは大変な思いをするかもしれませんが、田口さんのように透析の回数や時間を増やすことで体調が良くなるケースもあります。また、時間の都合がつけやすいので、仕事と治療のバランスも良好に。ただし、はじめは病院が対応できる日中に在宅透析の時間を充てるなど、もしものリスクも考慮して動くことが大切です。

【体験談2】十分な蛋白質とリンの摂取が必要

【以下、「在宅血液透析をはじめてーフルマラソンに挑戦し続ける在宅血液透析患者さんの体験談」からの引用(http://www.toujin.jp/html/kikanshi/)】

関東の施設透析は、いろいろ調べてみましたが私の知る範囲では、夜間透析の入室時間が午後5~6時と早いところがほとんどです。一方、在宅透析では透析開始時間は自由です。透析時間は病院から指導されているのは最低6時間透析を行うこと、透析間隔は中2日をつくらないようにと指導されている以外は基本的に自由です。

それは透析装置の故障などのために透析できないときに、翌日に中2日で臨時透析を受けることになるであろうという理由からです。これは東海大学病院の事例であって、他の病院では違う指導方針でやっているところもあるでしょうが、私は夜中も土日も関係なくやっています。

施設透析では厳しい自己管理が必要で、すべきこと、そしてできることは水分、リンの制限です。しかし、β2‐Mは透析の質とか時間にかかっているので自分にはどうしようもないことです。これに対して、在宅透析では、長時間透析で蛋白質が失われ、またリンが抜け過ぎて低リン血症になる傾向があるので、水分増加に注意しながら、十分な蛋白質とリンを摂取する必要があります。

患者の生命に対する責任の所在という点では、施設透析では患者は施設の治療方針に従わざるをえず、すべて施設に委ねられています。患者の要望もなかなか受け入れてもらえないし、一人だけ特別扱いはできないというのが施設の方針です。在宅透析では患者が望む治療が与えられ、自分の生命に自分で責任を持たせてもらえます。

リスクや副作用に対する知識や技術を身に付けて

「自分の生命に自分で責任を持たせてもらう」というと少し怖い印象を抱きます。ただ、それは医師やスタッフに相談した上で生活や治療の時間を自分でコントロールできる一方で、リスクや副作用に対する知識や技術も身に付けなければいけない、ということでしょう。

体験談にあるように、透析をすすめていくと水分増加に伴う血圧低下など、さまざまな不具合を感じることもあります。その時に慌てないように、正しい知識と信頼できるクリニックを調べていきましょう。

在宅透析に対応できる
各クリニックの安全性を比較