公開日:|更新日:
治療を受けられる時間帯に制限があり、どうしても治療が生活の中心になってしまいがちな透析治療。通院時間に合わせた生活を送らざるを得なかったのがこれまでの透析の問題点でした。しかし、在宅透析が徐々に普及し始めたことで、このような問題が解消されつつあります。透析患者の生活の質を大きく向上させる在宅透析について、実際の事例をご紹介します。
※こちらの体験談は個人の主観にもとづきます。
(前略)
――HHDはどんなスケジュールでするのですか?
田口:最初は、何かあったときに病院の指示を受けられるよう、透析室が対応できる時間にすることになっていました。朝7時半から夕方6時くらいまでで自分の好きな時間でかまいません。
――トラブルがあっても、透析室の指示を受けられるからですね。
田口:そうです。今は午前中に透析をしています。というのは現在は週3回、午後に会社に行っているので、その前の時間を透析に当てています。会社の日は8時~10時まで2時間、会社に行かない日は11時までの3時間です。
――HHDをやってみて体調は?
田口:体の調子はとてもいいですね。やはり透析は、回数も時間も多い方が良いわけで、HHDなら自分の都合にあわせてそれが可能なことを身をもって体験しています
――将来の希望はありますか?
田口:夜、寝ている間にHHDをして、昼間はまったく自由にできればと思っています。でも、まだ医師から許可されないんです。腎臓内科の先生が当直の時は夜でも対応できるのでOKとはいわれているので、午後10時くらいに透析することもたまにはあります。
(後略)
体験談の中でも語られているように、在宅透析に十分に対応できるクリニックはいまだ少なく、導入トレーニングを受ける際は多少遠くても実績のあるクリニックに通うことになるでしょう。
はじめは大変な思いをするかもしれませんが、田口さんのように透析の回数や時間を増やすことで体調が良くなるケースもあります。また、時間の都合がつけやすいので、仕事と治療のバランスも良好に。ただし、はじめは病院が対応できる日中に在宅透析の時間を充てるなど、もしものリスクも考慮して動くことが大切です。
(前略)
施設透析では厳しい自己管理が必要で、すべきこと、そしてできることは水分、リンの制限です。しかし、β2‐Mは透析の質とか時間にかかっているので自分にはどうしようもないことです。これに対して、在宅透析では、長時間透析で蛋白質が失われ、またリンが抜け過ぎて低リン血症になる傾向があるので、水分増加に注意しながら、十分な蛋白質とリンを摂取する必要があります。
患者の生命に対する責任の所在という点では、施設透析では患者は施設の治療方針に従わざるをえず、すべて施設に委ねられています。患者の要望もなかなか受け入れてもらえないし、一人だけ特別扱いはできないというのが施設の方針です。在宅透析では患者が望む治療が与えられ、自分の生命に自分で責任を持たせてもらえます。
(後略)
「自分の生命に自分で責任を持たせてもらう」というと少し怖い印象を抱きます。ただ、それは医師やスタッフに相談した上で生活や治療の時間を自分でコントロールできる一方で、リスクや副作用に対する知識や技術も身に付けなければいけない、ということでしょう。
体験談にあるように、透析をすすめていくと水分増加に伴う血圧低下など、さまざまな不具合を感じることもあります。その時に慌てないように、正しい知識と信頼できるクリニックを調べていきましょう。
自宅にいながら透析治療が行える在宅透析。施設で治療を受けることに比べると、自分の都合に合わせやすかったり、自分が納得する形での治療が受けられたりと、自由度の高さが大きな特徴だと言えるでしょう。
一方で、在宅透析では透析を自身で行う必要があり、その技術を身に付けることはもちろん、リスクや副作用についての知識も持っておかなくてはなりません。治療に対して、自分自身の管理能力や責任が強く求められるのです。
施設透析では、医師やスタッフによる厳格な管理体制のもと治療を受けられますが、自宅で透析治療を行うのであれば、自分自身である程度の対応が問題なくこなせるように準備が必要です。
在宅透析を検討している場合は、メリットやデメリットをしっかりと把握しておき、医師や家族とも相談をしたうえで、自分のライフスタイルに合った治療内容を選択しましょう。
あらゆる事態を想定し、在宅透析のサポート体制が充実しているクリニック選びが重要です。
このサイトでは、在宅透析に対応している東京近郊のクリニックを紹介しています。各クリニックのサポート体制をぜひチェックしてみてください。
「24時間かけつけ対応」「BV計モニターの見守り対応」など、安全性に配慮した対応をしてくれる在宅透析クリニックをまとめて紹介しています。在宅透析を検討されている方は、ぜひチェックしてください。
在宅透析クリニックの比較はこちら